日本野鳥の会が勇払原野の風力発電計画に反対

(公財)日本野鳥の会(以下同会)は希少鳥類の重要な生息地である勇払原野の東部(苫小牧市字弁天~むかわ町字鹿沼)で、「Daigasガスアンドパワーソリューション株式会社」(本社:大阪)が計画する「(仮称)苫東厚真風力発電事業」に対し、事業の中止を求めている。
6月に縦覧された計画段階環境配慮書に示された事業実施想定区域(以下、計画地)周辺では、国内希少種や天然記念物に指定されているタンチョウやオジロワシやチュウヒやマガンなどの生息が明らかになっており、同会はこれら希少鳥類の保護の観点から計画に反対している。

写真は勇払原野

 

今回の事業は4,000kw級の風車を最大10基建設するもの。1960年代から進められた苫小牧東部開発地域内に計画地があり、面積は564.7ha(うち風車設置対象面積は332.1ha)と、他の一般的な風力発電計画と比べて特に規模が大きいという訳ではない。しかし、開発地域指定後に放置されたことで生まれた湿地や草原に、今では マガン、タンチョウ、オジロワシ、オオワシ、チュウヒ、ハヤブサ、オオジシギ、アカモズなど絶滅危惧種等に指定される鳥類が多く生息し、計画地にある湿地や草原はさながら希少種の「ゆりかご」のようになっている。

写真は上はオジロワシ、中はヒュウヒ、下はタンチョウ ※(公財)日本野鳥の会写真提供

 

計画地に生息する希少鳥類には、風車建設によるバードストライクや生息地放棄などの影響を受けやすい種が多く、同計画が希少鳥類に大きな影響を及ぼすことは確実という。特に国内希少種に指定されるチュウヒは、国内推定数90つがいのうち7つがいが計画地内で繁殖しており、風車建設で全つがいが生息地放棄等を起こした場合、国内繁殖数の約8%が消失することになる。

同会は風車建設が上記の希少鳥類の生息に影響を及ぼすことは回避不可能と判断し、希少鳥類保護の観点から令和2年6月30日付で事業者に対し「(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要請書」を提出し、事業計画の中止を要請した。
また、令和2年7月9日付で北海道知事宛および環境大臣宛に「(仮称)苫東厚真風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する北海道知事(環境大臣)意見に関する要望書」を提出し、計画段階環境配慮書に対して事業の見直しを含む厳しい意見を事業者に提出、行政指導をするよう要望している。

 

勇払原野とは?

道央圏にある石狩低地帯の一角で、 苫小牧から太平洋に至る一帯を「勇払原野」と呼んでいます。 勇払原野はかつて釧路湿原、 サロベツ原野とともに北海道の三大原野と言われていました。 約3万6千haの原野を構成する湿原の面積は、 過去50年間で著しく減少しているものの、 残された自然環境は、 ラムサール条約湿地であるウトナイ湖を含み、 水鳥や草原性鳥類、 絶滅のおそれのある鳥類の生息地として重要な役割を果たしています。


◆日本野鳥の会 組織概要
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター 約5万人)
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